April 5, 2009
ビジネスモデル・イノベーションの原則
2009年4月号のハーバード・ビジネスレビューより。
この「ビジネスモデル・イノベーションの原則」を書いているのは、実は「イノベーションのジレンマ」で有名な、あのクリステンセン氏でした。その当初の書籍が出たのも、90年代。当時は新しく注目されている技術がたくさんあり、その反面、破壊的技術が市場に登場していました。有名な話では、ハードディスクの革新(イノベーション)ですね。
ここのところの数年、技術的イノベーションの革新よりも、ビジネスモデルの革新が注目を集めています。アップルのiPod/iTunesも良い例です。細かい点を除けば、iPodの中核をなす技術では、あまり新しい技術がありません。しかし、ビジネスモデルそのものがイノベーションであると言われています。アパレルのH&Mなどは、ほんの数週間でデザインから衣類の開発、製造、そして世界中への発送を行い、店頭で販売が可能となるSPA(製造から小売りまで一貫して行うことをさす)を構築しています。Googleは検索エンジンというコア技術がありますが、ビジネスモデルにおけるイノベーションでも注目を集めています。
非常に当たり前な話なのですが、ビジネスモデルの中核には顧客がいます。この顧客に対して、提供価値を高める事が、ビジネスモデルのイノベーションの原点です。
そして、利益がしっかり確保できるのか?カギとなる経営資源、プロセスを明確にしていく。少なくとも、顧客価値の提供を含むこれらの4つの要素が、ビジネスモデルを成功させる要因であるとされています。
一見、さらりと書かれているようですが、改めて大事であると感じたのはその出発点です。つまり、顧客提供価値。ここを原点としなくてはなりません。よく利益が出して株主を満足させるためなら何をしても構わないという(ある種の極端な)発想があります。行き過ぎた資本主義の象徴かもしれません。個人的には、やはりこの発想は間違っていると思います。やはり顧客が第一。優れたビジネスモデルには、顧客が原点になっていなくてはならないでしょう。ビジネスモデルには持続性も必要です。
いまさら言うまでもないですが、ビジネスモデルは利益を生み出さなくてはなりません。顧客に価値を生み出す一方で、自社(自分)にも利益(ベネフィット)を生み出す必要があります。
そしてビジネスモデルは実行可能でなくてはなりません。顧客を中心として描いた新しいビジネスモデルを既存のビジネスモデルと比較します。その差分が実行できるかどうか?を検討します。実行不可能なモデルは実現性がありません。
しかし、ベンチャーキャピタルに持ち込まれるビジネスプランには、一見実現可能性が非常に低いものがあるそうです。他人には不可能にみえる事を実現するプランというのは、ベンチャーキャピタルや投資家から多くの資金の調達が可能になり、そして投資家に対して高いリターンを生み出すそです。
非常に大きな成功を導くビジネスモデルは、非実現性を裏腹な関係です。まさにコインの表裏一体。ただその原点に顧客への提供価値があり、そして自社にとって利益を生み出せなくてはならない。この論文では非常に当たり前のことを論じているのですが、しかし見落としがちなポイントだと思います。
特に出資をエクイティ・ファイナンスなどで調達する場合には、「で、いくらリターンあるの?」という質問に答えるべく、顧客価値を忘れて収益性を注視しがち。行き過ぎた資本主義をさらに加速させるような企業の誕生になってはいけませんね。

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