February 11, 2009
企業参謀
100年に一度と言われている不景気に世界中が直面しています。比較的、日本はこの不況のインパクトが弱いとされていますが、国際化が進んだ現代においては、国内の大手企業へのインパクトは極めて深刻です。この不況の中で、各社はそれぞれの施策や戦略を打ち出す事に集中し、自社のおかれている状況を打開する事に専念する必要があります。もちろん不況において、企業が自身の努力無しにして不景気を乗り切る事は到底難しいでしょう。そうでなければ、この不況は今後も永続的に継続するか、もしくはより悪化する傾向にある事は間違いないでしょう。
企業戦略や経営戦略は、その論文や書籍によっていくつかの定義がありますが、「競争に勝つ」とか 「持続的優位性を確立する」事が主な目的である事は間違いありません。特に市場や経済全体の伸び悩んでいるときこそ、数多くの企業にとって、この企業戦略が必要になってきます。そしてこの不況のタイミングの時こそ、戦略を見つめ直し、修正し、そして実行に移して行く必要があります。
一言で企業戦略と言っても、様々な方向性があります。戦略を立てるドメインもそうですし、コスト削減なのか?新規ビジネス立案なのか?それによっても、立てるべき戦略の性質は異なってきます。
この企業参謀では、ベーシックなプロセスに沿って、どのように改善点を絞り込んで行くか?そしてその解決方法をどのように立案して行くか?について述べられています。当時GEなどで重宝したPPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)などが詳細に取り上げられています。
本書のオリジナルの出版は1975年と77年であるにも関わらず、30年以上経った今でも十分に通用できるレベルにある事に驚きます。しかしその反面、最近のビジネスモデルに適応するのには多少難があると思われます。まず第一に、新しいビジネスモデルは、既存のものに対して十分に収益改善が適応されている点があげられます。ビジネスシステムを垂直に集約、最適化する事により、そもそもモデルとしての構造が十分に優れているため、本書で紹介されている収益改善プログラムの効果が薄れてしまいます。
もう一点は、新しいビジネスモデルを採用する例えばIT関連企業などは、元来からそのビジネスドメインが絞られている点があげられます。PPMなどは、多角化している大企業が収益性の高いドメインの選択と集中を行うために駆使される手法です。つまり、元々あるドメインに集中投資しており、それがビジネスのすべてとなるような企業には利用が難しいのです。
しかし、後方の章では、KFS(Key For Success)の重要性とその探し方のヒントに触れられています。この部分は、現代でも全く色あせていません。そもそも事業機会は誰にでも平等ではありません。その上、機会に大きなリスクを容認して大胆に事業拡大をする会社に有利に動作します。そのため、事業機会は見つけたら一気に掘り起こしてしまう必要があります。こんな事できるのは、よほどの冒険家か金持ちと思われるのが一般的な解釈ですが、その成功のリスクを下げるのがKFSです。KFSは自社に関して徹底的に分析する必要がありますが、それだけでは不十分で、自社の競合となるだろう企業までKFSを十分に調査してみる必要があります。
本書では、企業戦略策定にあたってのベーシックなプロセス、立案時に必要な思考のノウハウについて触れられています。様々な「戦略」に携わる人は是非読んでおかなくてはならない一冊だと思います。

- 企業参謀―戦略的思考とはなにか
- 大前 研一
- プレジデント社 1999-11
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マニュアル本ではない。思考力を磨くための本。
戦略的思考の教え
ミスター合理主義
実務に活かすイメージを持ちやすい経営書
実務用です。
by G-Tools , 2009/02/11
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